59名からあふれた362案を厳選し14チームで創造
「ハッカソン(Hackathon)」は本来、限定時間内にエンジニアのチームがプログラミングをマラソンのように行うことに由来しますが、現在は、エンジニアに限らず多くの職種の方が参加し、ひとつのテーマの下でチームワークを生かして創造性を磨くイベントとして広まっています。『D&Sハッカソン』には、2社からエンジニアや、ディレクター、デザイナーなどさまざま職種の社員59名が自主的に参加しました。
今回はCambrianRoboticsの『obniz』のほか、日本アイ・ビー・エムデジタルサービス社の『IBM Cloud』と『Watson API』、KDDIウェブコミュニケーションズ社のクラウドAPIサービス『Twilio』、LINE社の『Messaging API』や『LINEミニアプリ』が技術支援を行いました。参加者は最低でもいずれか1社の技術を用いたアイデアでチームを結成し、会期中に実装することがルールとなっています。11月19日に行われたアイデアソンで挙がったアイデアは362案、そこから絞られた14案で2社の混合チームが結成、『obniz』が活用されたアイデアは14案中、8案でした。アイデアソンを経て、12月2日から3日にハッカソンと審査が行われました。
「ハンズオン」と「ハッカソン」で常に『obniz』がサポート
さまざまな職種の参加者がテクノロジーの性能や機能性をきちんと理解し、アイデアの実現性を高められるように、11月25日に学びの場として「obnizハンズオン」が行われました。
チーム内での協議の様子
IoT初心者に人気の『obniz Starter Kit』
CambrianRoboticsは今回、必要なパーツがセットになったIoT初心者向け『obniz Starter Kit』をご用意しました。「ハンズオン」では、Kitに入っている『obniz Board』のさまざまな機能をオンラインで説明しながら実際に試してもらい、各チームが個々のアイデアにどう技術として活かすか、より具体的に検討しやすくしました。
また、12月2日と3日に開催された「ハッカソン」期間中も、各チームが技術面の壁にぶつかった場合には、アイデアを確実に実装できるように、基本的機能だけでなく応用的な使い方までアドバイスしました。「ハンズオン」「ハッカソン」いずれも、CambrianRoboticsの共同創業者であり現役エンジニアとして『obniz』の開発に携わる木戸康平が対応しました。
技術に関する質問や相談にオンラインで対応している様子
「ハッカソン」審査と受賞作品
12月3日、ハッカソン最終日の終盤では、審査員として、タレントでありフリーランスのソフトウェアエンジニアとしても活躍中の池澤あやか氏、プロトタイピング専門スクール『プロトアウトスタジオ』校長・プロデューサーである菅原のびすけ氏、そして、第一生命情報システムからは野田憲二 常務執行役員、スミセイ情報システムからは稲見典生 常務執行役員が招聘されました。
各チームたった3分以内で企画書と動画または実際のデモンストレーションで、プレゼンテーションを行わなければいけない、かなりのプレッシャー下の状況です。そうしたなか、痛恨の時間切れで実装に間に合わなかったチームや、意表をつくアイデアで審査員たちを大いに笑わせるチームなど、各チームの作品発表はオンラインとは思えないほどの盛り上がりを見せました。
発表された数々のアイデアの一部
審査員の方々
今回の『D&Sハッカソン』の審査基準は、「アイデア」「チャレンジ性」「完成度」という3つの観点から成り立っています。まず、アイデア面では、新規性・独創性・オリジナリティが評価ポイント、チャレンジ面では、技術へのチャレンジ・こだわりが評価点となり、そして、完成度の面ではプロトタイプとしての完成度・出来栄えをチェックされます。
14チームのうち、『obniz』の技術を採り入れてカタチになったアイデアは8チーム(8作品)です。そのなかから、受賞作品とコメントを以下にご紹介します。
「LINE」賞
チーム「植物エンターテイメント企画部」
作品名「おしゃべりクソプラント」
https://protopedia.net/prototype/2100
●概要:在宅勤務増加により社内外のコミュニケーションが減っているのではないでしょうか。そんなあなたの気持ちをリフレッシュ! 「おしゃべりクソプラント」が昼夜問わずひたすらにコミュニケーションを取ってくる、いい迷惑なサービスです。
●チームリーダー 第一生命情報システム 佐藤様からのコメント
―ハッカソンに参加した理由は?
「課題解決型ではなく独創的なアイディアをベースとした超短期間での開発を経験できるところ、加えて、支援企業様の技術を学べる点に魅力を感じて参加を決意しました」
—『obniz』を利用してみて
「IoT開発は今回が初めてでしたが、まず初期設定が10分程度で行えて非常に簡単にできました。また、公式サイトでは、『obniz Starter Kit』で利用できるパーツの実装サンプルが載っていて、デバイス固有のIDを入力するだけで動作確認できたので、コーディングにも時間がかからなかったです。プログラム経験者でも、経験がなくても、誰でも簡単に利用できるIoT初心者に優しいデバイスだと思います」
—受賞した感想は?
「『obniz』をフルに活用してエンターテイメント性を充実させたので、受賞でき非常に嬉しいです。今回使用しなかったobniz製品はまだまだ存在し、時間に余裕があればもっと拡張させたかったです。それほどに、『obniz』は魅力的な製品でした」
優秀賞 /「IBM」賞
チーム「うちの子」
作品名「いやー、、 うちの子がすみませんw」
https://protopedia.net/prototype/2098
●概要:ガジェット(ロボ)です。基本的には、WEB会議のカメラに映りこむように利用するものです。会議の雰 囲気など検知して、いろいろ突っ込んでくれたり、ガジェット同士で勝手に会話をしたりその場を和ませてくれる子です。想定されるシチュエーションは、「いやーうちの子がすみません(笑)」です。
●チームメンバー スミセイ情報システム 青木様のコメント
―今回の作品で特に力を入れたポイントは?
「リモート会議の画面にこどもが映り込むことで場の雰囲気が柔らかくなる、そんな環境を作り出すことを今回の作品の目的にしています。その実現のために、かわいくてくすりと笑える“うちの子”を作ることを意識しました。具体的には、感情を持っているかのような受け答えを会議の画面越しに伝わるように、物理的な動きや、LEDパネルでの感情表現、受け答えのパターン作成、言葉遣いなどを工夫しました」
—『obniz』を利用してみて
「『obniz Starter Kit』と数時間のハンズオンで十分に利用できるレベルに到達できるのは驚きました。また、クラウドのAPIで操作できる点が、NewNORMALな時代のハッカソンにぴったりだと思いました。私が大阪、他のメンバーは東京という物理的に離れた環境でしたが、リモート参加であっても、東京側の物理装置を簡単に操作できることで、同じ場所にいるかのように開発ができました。そのおかげで心の距離も縮まったように思います。私のプログラムをテストするために、東京側のobnizを操作すると“うちの子”がいきなり話し始めたりするわけですが、その驚きによって笑いも起きたりして、非常に良い雰囲気でハッカソンを進めることができました」
—ハッカソンに参加してみての感想は?
「今回、受賞できて、自分たちの子が認められたのは素直に嬉しかったです。自信にもなって、今後もいろいろ作ってみようと思えるようになりました。早速その週末には、サーボモーターに人形をつけてこどもの言葉に反応して振り返ったり喋ったりするおもちゃや、サーボモーターに輪ゴムをつけて『発射』の言葉に反応して人形がロケットのように飛び出すおもちゃを作ったりして、家族にも喜ばれました」
「ハッカソンは技術サポートの企業様やチームメンバーから、自分が触れたことのない技術に触れられるところが素晴らしいと思います。今回も『obniz』やチームメンバーが所有していた3Dプリンターの技術に初めて触れ、非常に多くの刺激を受けました」
最優秀賞 /「obniz」賞 / オーディエンス賞
チーム「いい汗かこうぜ!!」
作品名「ドキッ!(ムキッ!) 地獄の在宅筋務!!」
https://protopedia.net/prototype/2101
●概要:ながらトレーニングが続かないなら、仕組み化すればいいじゃないか!!1日の初めに勤務中のながらトレーニングを決定。しっかりトレーニングしながらお仕事に勤しみます。在宅勤務だからって、サボりは許されません。手を抜いているとお叱りの「トレーニングおかわり通知」がくるかも。
●審査員 池澤あやかさんの講評 「ステイホームのご時世で運動不足に悩む人が多いなか、筋トレを日常生活に溶け込ませる形でガジェットを作り、ハードウェアにも上手く連携して活用されたところが評価に繋がりました。さらに、ハッカソンの時間がごく限られるなか、実装も非常に作りこまれていて、審査員会では大変高い評価でした。使い方のデモンストレーションも良く、今後の拡張性まで分かる素晴らしい内容だと思いました」
●チームリーダー 第一生命情報システム 桐生様のコメント
―今回の作品で特に力を入れたポイントは?
「特にヒューマンインタフェースに力を入れました。日頃から使っている仕組みの方が日常に溶け込むだろうと考え、デジタルとしてのインタフェースはLINEを使いました。企業の公式BOTを参考にしながら、我々のアイデアを具現化するためのUIを設計しました。アナログとしてのインタフェースには『obniz』を使いました。どうすればトレーニングの回数を計測できるだろうか?と考えつつ、試しにセンサを動作させてみたり、計測の閾値を調整してみたりと事前準備はじっくりとやりました」
―『obniz』を利用してみて
「他社のシングルボードコンピュータは使ったことがありましたが、obnizを使うのは今回が初めてでした。使ってみて一番驚いたのは、箱から取り出してセットアップが完了するまでの簡単さです。電源を繋ぎWi-Fiの設定をするだけで準備完了となり、あとはJavaScriptでコーディングするだけです。さらに、公式サイトには各パーツのサンプルコードも多数あり、動作のイメージをすぐにつかむことができました。このような点から、『obniz』はハードウェアを使った作品づくりをすばやく進めるにはぴったりな製品だと感じました」
—ハッカソンに参加してみての感想は?
「普段の仕事・生活では経験し得ない非日常を味わえた、というのが一番です。アイデアソンに始まり、アイデアに共感したメンバーを集めるチームビルディング、そしてアイデアを素早く具現化していくハッカソンと、プロジ
ェクトが目まぐるしく展開していきましたが、いずれも新たな体験として楽しめました。メンバーとともに、限られた時間のなかで試行錯誤を繰り返し完成にこぎつける達成感は、ハッカソンだからこそ味わえるのだと思います。この経験は私の中に財産として残り続けるでしょうし、今後の仕事でも役立つ機会が訪れるだろうと感じています」
ハッカソンの伴走者たち
初の試みとして合同開催された『D&Sハッカソン』について、企画から運営までを担当したお二方、ならびに審査員の方々よりコメントをいただきました。
●運営担当 第一生命情報システム Studio Xedge Section Chief 綿引様
―企画から開催までの所感は?
当初は対面でのハッカソン開催を予定していたものの、コロナ禍の影響で、中止を一度検討もしました。しかし、世の中ではリモートハッカソンの連鎖が生まれていたこともあり、今回のスミセイ情報システム社との開催に至りました。
初の試みだったため正直、不安要素はたくさんありました。参加者を募集するにあたっても、リモートや在宅での対応が必要だったため、我々の熱意を伝えるのに苦労しましたが、昨年度自社でハッカソンを開催されているスミセイ情報システム社のノウハウとMA社の伴野さんの力強いサポートもあり、企画から開催まで何とかこぎつけることができました。もちろん、途中てんやわんやしたこともありましたが、スムーズな運営ができ、何とか無事に終了できました。
●運営担当 スミセイ情報システム 人材開発部チーフ 宮田様
―企画から開催までの所感は?
2020年5月、コロナ禍で混沌とするなか、『2社合同でオンラインハッカソンをやってみよう!』と合意して約半年、両社が目指す姿を議論し合い、紆余曲折しながらテーマや技術、実施方法を確定してきました。参加者は集まるか、初対面かつ短期間で実装にたどり着くか等、不安と期待の日々でしたが、アイデア数、濃密なコミュニケーション、作品をPRするユーモアなプレゼン等、どれをとっても感動して、終了の際は感極まりました。
●審査員 第一生命情報システム 野田憲二様
—今後のIT人材育成のビジョンは?
これからの時代、いわゆる『DX』と言われる世の中では、『コラボレーション・協創』が前提になると感じます。今回のスミセイ情報システム社との人脈も大事にし、新しく人と出会い、そして受け身ではなく自ら新しいことへ挑戦していく、そういったチャレンジ精神あふれる人財に成長していって欲しいと思っています。
●審査員 スミセイ情報システム 稲見典生様
—今後のIT人材育成のビジョンは?
スミセイ情報システムでは、2020年度よりデジタル人材育成のさらなる強化をしています。お客様のDX戦略の実現を当社がリードすべく、関連技能を有するデジタル人材の育成に向けて全社一体となった育成体制を構築し、計画的かつ効率的にデジタル技術の習得と活用を進めており、ハッカソン開催はその活動のひとつとなります。
今回のハッカソンでは、すべての顧客が直面している『New NORMAL』という旬のテーマについて、“アイデア” “チャレンジ性” “完成度”という3つの軸で作品づくりに尽力できたことは、参加メンバーの成長につながるものと考えております。
●審査員 プロトタイプスタジオ 菅原のびすけ氏
テーマが 『New NORMAL』だったこともあり、コロナ禍の前なら出てこなかったようなアイデアばかりで面白かったです。この場限りで閉じることなく、ぜひ継続してアウトプットを続けていただきたいし、そこから得られるものを実務で役立ていってほしいです。
CambrianRoboticsは、誰もがあらゆるものをIoT化できるテクノロジー『obniz』を通じて、社会の課題解決や人々の生活を豊かにすることを常に目指しています。
私たちは、ハッカソンやセミナー、ワークショップ、ハンズオンなど各種イベントやプログラムを継続しながら、より多くの方に『obniz』の機能性や使い方をご紹介し、さまざまなアイデアが実現できるように力強く後押ししていきます。
『obniz』の製品を利用して、企業や学校、団体などのハッカソン実施をご検討の方はお気軽に公式サイトのお問合せフォームよりご相談ください。