2020年8月に開始した『SmartCityX』ではこれまで、デジタル化やコロナ禍の社会変容を前向きな未来への変革の機会とすべく、生活者目線で価値の高いサービス・アプリケーションの共創に取り組んでまいりました。
日本の各業界を代表する大企業13社と世界20の国と地域から採択されたスタートアップ95社が、6つの先進自治体・経済団体、60名超の専門家メンターとともにサービス・アプリケーションの開発に取り組み、今回発表する事業共創案件をはじめとする、新たなコラボレーションの種が多く生まれました。
■ 生活者目線で価値の高いサービス・アプリケーションを共創
『SmartCityX』では、産業や技術の視点だけではなく、生活者の視点で議論を深めてまいりました。ワークショップでは、参加企業が業種や企業の垣根を超えて、生活者目線で『SmartCityX』で体現したい価値観について議論を交わし、以下の3つの価値観を『SmartCityX Principles』として定義しました。
1. カラフル – 多様性を前提に、それぞれが好きなものを自由に選択できる
2. ライフアップデート – デジタル化/スマート化を通じ、街が人に合わせて変化していく
3. オーナーシップ – 住民が自分の住む街に愛着を持ち、主体的に運営に関わる
■ 大企業-スタートアップ間だけでなく、大企業同士の事業共創事例も
1年目のプログラムでは、各社がこうしたPrinciple(原則)に基づき、業種や企業の垣根を越えたサービス開発に取組み、国内外のメンターによるアドバイスや、先進自治体による実証フィールドの提供等のサポートを得ながら、多くの事業共創案件が生まれることとなりました。
例えば、パートナー企業として参画中の出光興産は、三重県東員町にて、予防医療のデジタル化事業を展開するスマートスキャンと実証実験を行います(2021年6月10日~7月2日)。この実証では、トレーラーを用いた移動型クリニックに、オンラインで予約・問診から結果受領までを完結する「スマート脳ドック」を実装し、出光興産のサービスステーションネットワークの活用を視野に入れた検診サービスを提供します。利用者は、遠方の病院に行くことなく、自宅のある地域内で検診を受けることができます。また、スマホやパソコンで事前に予約・問診を済ませることで、移動時間の短縮だけでなく、検査時間の短縮(検査所要時間:約20分程度)も図ります。
また、ライオン、JR東日本、博報堂、エクサウィザーズは、「衛生ステーション」構想をスタートさせています。街の玄関口である駅を舞台にお客様の手指消毒等の衛生行動に関するデータを取得し、衛生意識を見える化するプロジェクトを推進します。衛生プロダクトやサービスを掛け合わせることで、生活者の衛生的な行動習慣を促します。駅での実施に先駆けて、まずは2021年6〜7月頃にコワーキングスペース『point0 Marunouchi』で実証実験を開始します。
※本日発表する各プロジェクトの詳細は後述
■ 各カテゴリを代表するスタートアップ6社をご紹介
また、本プログラムには、世界20の国と地域から、多様な領域の95社の優れたスタートアップが参画し、日本の大企業・自治体との事業開発に取り組んでいます。成果発表会では、各カテゴリを代表する有力なスタートアップが、事業内容や取組みに関するプレゼンテーションを行いました。
※本日ご紹介するスタートアップ各社の詳細は後述
本年夏頃に開始を予定している2年目のプログラムでは、1年目で生まれた事業共創案件の継続的な議論に加え、新たに参画する大企業・スタートアップも募集しながら、新規の事業開発に取り組んでいく予定です。『SmartCityX』は、”Society 5.0 × New Normal”の原動力となる生活者目線のDXを推進し、一人ひとりのニーズに合った選択があり、多様な幸せが実現できる社会づくりを引き続き目指してまいります。
【一年目プログラムで生まれた事業共創案件】
(1) 地域エコシステム『スマートよろず屋』~SSネットワークを活用した予防医療拠点~
● 参加企業・団体:出光興産株式会社、スマートスキャン株式会社、三重県
● 概要:スマートスキャンの提供する、オンラインで予約・問診~決済~結果通知まで完結するスマート検診サービスを提供し、地域の生活者が暮らしの中でよりスムーズにクセスできる予防医療の形を提案します。まずは、6/10から三重県・東員町にて、トレーラーを用いた移動式クリニックで実証実験を行い、その後、他地域のサービスステーション(SS)ネットワークでの展開を検討していく予定です。
(2) Infection Control & Public Hygiene ~街をきれいに安心に~
● 参加企業・団体:ライオン株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、株式会社博報堂、株式会社エクサウィザーズ
● 概要: 手指消毒等の衛生行動のデータを取得し、衛生意識を見える化する「衛生ステーション」構想をスタートします。家でも外出先でもなく、街中での衛生的な行動を促すこと目的に推進していきます。生活や街において、移動のハブであり、かつ街の玄関口である駅を拠点に衛生行動をモニタリングしていくことで、利用する方がお互いに街の衛生状態を守りあえるような関係を目指していきます。今秋には、JR東日本が有する場を使っての実証実験を計画しています。
(3) 住民の行動変容を促す、日常使い出来る防災ソリューション
● 参加企業・団体:あいおいニッセイ同和損害保険株式会社、東京都渋谷区
● 概要:あいおいニッセイ同和損害保険が持つ『cmap ( https://cmap.dev/ )』をベースに、高齢者・若者を含む地域住民の方に日常的に利用される防災アプリの開発に渋谷区とともに取り組みます。平常時は天候にまつわる小さな不便の解消等で日常利用を促し、災害時には避難所への避難行動を促すような仕組みを構築してまいります。2021年度内にはプロトタイプを開発し、渋谷区内でPoCを実施する予定です。
(4) デジタル時代の新たな交通安全対策~テレマティクス技術を活用した新たな交通システム~
● 参加企業・団体:あいおいニッセイ同和損害保険株式会社、福井県、福井県警察
● 概要:福井県の重点課題である地域の交通課題解決に対し、あいおいニッセイ同和損害保険の有するテレマティクスタグを活用し、県内ドライバーの運転データを取得することで、地域内の危険挙動が多いエリアを検出します。事故が発生する恐れのあるエリアを特定し、県と県警がデータの有用性を確認した上で、実証で取得したデータと警察が持つ事故データを掛け合わせて事故の発生を未然に防止するなど、先手先手の交通安全対策を目指していきます。
(5) トラストあるデータ流通基盤を軸とした、鹿島アントラーズファン向けの新たな価値提供及びホームタウン地域課題へのチャレンジ
● 参加企業・団体:日本ユニシス株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社、株式会社ジェーシービー、Miles、茨城県鹿嶋市 / 株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シー
● 概要:鹿島アントラーズのホームゲームに来訪するファンは自家用車が多く、周辺の混雑がファンだけでなく周辺住民の課題になっています。鹿島アントラーズというブランドを有効的に活用しながら、代替交通機関の利用や周辺店舗での消費等、スポーツチームを通じた鹿嶋地域産業の活性化を図ります。事業者間・サービス間のデータのやりとりには、日本ユニシスが提供するトラストあるデータ流通基盤『Dot to Dot』が活用され、消費者に対するインセンティブの付与には米Miles社が提供するマイレージアプリが用いられる予定です。
(6) 生活者向け行動変容型サービスで実現する、「地方創生」「地域活性化」
● 参加企業・団体:東日本旅客鉄道株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社、Miles
● 概要:スマートフォンを介して生活者の移動情報に応じてリワードを提供するアプリ『JREAD』を共同開発し、訪れたことのない店舗を訪問する・エコフレンドリーな移動手段を選択する等の行動変容を促すとともに、データの地方創生への活用を目指します。これまで、2021年2〜3月に実証実験を実施し、アンケートやモニタリングを通じてサービスの受容性を確認してきました。今後の事業展開を継続的に検討してまいります。
このほか、地域の持続可能なモビリティのあり方をテーマに、ウーブン・プラネット・ホールディングスとJR東日本が連携して検討を開始しました。
【登壇スタートアップ6社】
1. Misapplied Sciences
● 地域: アメリカ
● カテゴリ: コンシューマープロダクト&サービス
● ウェブサイト: https://www.misappliedsciences.com/
2. EVA
● 地域: アメリカ
● カテゴリ: モビリティ
● ウェブサイト: https://eva.xyz/
3. Caspar.ai
● 地域: アメリカ
● カテゴリ: スマートビルディング
● ウェブサイト:https://caspar.ai/
4. Electro-Active Technologies
● 地域: アメリカ
● カテゴリ: エネルギー&資源&サステナビリティ
● ウェブサイト:http://www.electroactive.tech
5. Tomorrow.io
● 地域: アメリカ
● カテゴリ: インフラストラクチャ
● ウェブサイト: https://www.tomorrow.io/
6. Singular Perturbations
● 地域: 日本
● カテゴリ: ソーシャルイノベーション
● ウェブサイト: https://www.singularps.com/
【SmartCityXについて】
● プロジェクト概要: 「SmartCityX」は、各業界をリードする大企業パートナーが、世界中の最先端のスタートアップとともに「未来のまち」を共創するグローバル・オープンイノベーション・プログラムです。
● 主催:スクラムベンチャーズ
● パートナー企業:あいおいニッセイ同和損害保険株式会社、出光興産株式会社、ウーブン・プラネット・ホールディングス株式会社、積水化学工業株式会社、西日本電信電話株式会社、日本ユニシス株式会社、株式会社博報堂、東日本旅客鉄道株式会社
● サポーター企業:味の素株式会社、株式会社ジェーシービー、スズキ株式会社、株式会社ディー・エヌ・エー、ライオン株式会社
● オブザーバー自治体:福井県、三重県、茨城県鹿嶋市 / 株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シー、東京都渋谷区、大阪商工会議所
● リソースパートナー:アマゾンウェブサービスジャパン株式会社、CIC Japan合同会社、日本貿易振興機構(ジェトロ)
● 公式ウェブサイト:https://www.smartcity-x.com/
● 公式ツイッター:@Smartcity_x_jp
● 開催期間(1年目プログラム):2020年8月から2021年6月迄
● スケジュール:
○ スタートアップ募集期間:2020/8/26〜2020/11/30
○ スタートアップ選考期間:2020/12月〜2021/1月
○ メンタリング・事業開発期間:2021/2月〜2021/6月
○ デモデイ(成果発表イベント):2021/6月
● 本プログラムで募集するスタートアップの主要6領域
1. コンシューマープロダクト&サービス
2. モビリティ
3. スマートビルディング
4. エネルギー&資源&サステナビリティ
5. インフラストラクチャ
6. ソーシャルイノベーション
【スクラムスタジオ株式会社について】
日本企業とグローバルスタートアップの新規事業創出を手掛けるスクラムスタジオ株式会社は、オープンイノベーションの手法を活用し、各業界を代表する大企業パートナーとスタートアップとの共創を支援する「グローバル・アクセラレーター・プログラム」や、ジョイントベンチャーによる大企業のスピンアウト起業といった「インキュベーション事業」を行っています。また米国から最新のスタートアップ&テック情報をお届けするオンラインプラットフォーム「Scrum Connect Online」も運営しています。スクラムスタジオ株式会社は、日本企業と世界中のスタートアップとの新たな事業、価値創造をドライブします。
会社名 : スクラムスタジオ株式会社
代表者 : 代表取締役社長 髙橋 正巳
本社所在地: 東京都渋谷区
設立日 : 2020年8月
業務内容 : 新規事業創出スタジオ事業、オンラインプラットフォーム事業
URL :https://scrum.vc/ja/studio/
【プレスリリースに関するお問い合わせ先】
スクラムベンチャーズ担当: 三浦
Email: contact@scrum.vc
【『SmartCityX』に関するお問い合わせ先】
スクラムベンチャーズ担当: 大野
Email: scxpr@scrum.vc