※1 愛媛大学が研究開発した葉緑素推定アルゴリズムを用いる圃場分析技術。愛媛大学にて特許申請中。
農業就業人口・農家数の減少が加速する国内農業は、少数の大規模農家が多数の圃場を管理し農作物生産を行う形態へと構造変化が進んでいます。そして、大規模農家では、「いかに少ない労働力で効率的に広大な圃場を管理し、高品質な農作物の安定的な栽培を低コストで実現していくか」が重要な課題となっています。
例えば、複数の圃場からなる広大な耕作エリアを抱えると、エリアごとの条件差を踏まえたきめ細やかな栽培管理を行うことが難しくなります。この結果、エリアごとに生育状況のばらつきが生じ安定的な生産ができないという問題が生じます。また、生産のばらつきや天候不良の影響を吸収し取引先の要求量を満たす収穫量を確実に確保するためには、恒常的に余剰生産を行う必要が生じ、結果として大量の廃棄ロスが生じるという問題も生じます。これらの問題の解決にあたっては、定期的に圃場全体の生育状況を分析し、「生産の安定化」、「廃棄ロスの抑止」を実現することが不可欠ですが、既存の分析手法では高額な装置の利用が必要であり、農家にとって安価な分析手法の確立が必要となります。
このような背景を踏まえ、NTT西日本グループは、愛媛大学、青空株式会社と共同で、上述の課題を解決し農業生産のDXを実現するための実証実験を開始します。
2.共同実証実験の内容について
本共同実証実験では、農作物の生産の安定化と過剰生産による廃棄ロス抑止について、低コストに実現するシステムの評価を行います。
<生産の安定化に向けた実証内容>
愛媛大学が開発した低コストで導入可能な独自の圃場分析技術、NTT西日本グループのドローン・ソリューションとクラウド基盤を活用し、圃場における農作物の生育状況を分析する仕組みを構築します。
また、圃場分析結果に基づいて適切な施肥を実施することにより生産量・生産品質の安定化に繋げます。
具体的には、まず、青空株式会社(岡山県真庭市)のレタス圃場を廉価な汎用ドローンカメラにて空撮します。次に、圃場全体を撮影した俯瞰画像データからSPAD値※2を分析し、圃場のレタス葉の葉緑素の濃度を推定することでレタスの生育状況を可視化します。そして、可視化された生育状況に基づき、必要箇所に必要な量の施肥(可変施肥)を実施し、レタスの生育・品質のばらつきを抑制します。
※2 植物葉中の葉緑素含量の測定に用いられる分析値。
<廃棄ロス抑止に向けた実証内容>
分析された生育状況データと青空株式会社が培ってきた野菜栽培ノウハウを活用し、収益性に優れた営農手法の確立をめざします。具体的には、レタスの生育状況、天候データとこれまでの経験的な知見から収穫可能時期や収量を予測します。そして、販売先の要求量に対する余剰量を早期に予測することで、余剰分の販売先を事前に確保し、廃棄せず収入源に転換していく仕組みを構築します。
図1: 共同実証実験イメージ
<実証実験を行うエリア>
岡山県真庭市
<役割分担>
〇 西日本電信電話株式会社:
クラウド基盤提供(分析環境)、収量予測モデル作成
〇 NTTビジネスソリューションズ株式会社:
ビジネス性評価、ドローン自動化撮影
※愛媛大学:
葉緑素推定アルゴリズムの提供、圃場葉緑素分布マップの作成
※青空株式会社:
圃場葉緑素分布に基づく可変施肥実施、農作物品質および収量評価、収量予測ノウハウの提供
3.実証期間
2021年6月~2022年3月
4.今後の展開
NTT西日本グループでは、本共同実証実験で得られた知見を踏まえ、引き続き本実証の関係組織と連携しつつ、農業生産DXソリューションの事業化を進めます(2022年度)。また、ソリューション提供を通じて、地域農家の生産性・収益性を高め、地域経済の活性化に貢献して参ります。
【参考】 本実証実験で連携する各社各組織のHP
愛媛大学 http://ccr.ehime-u.ac.jp/rccs/
青空株式会社 http://www.okayama-bluesky.com/
■本件に係るお問い合わせ先
NTT西日本 デジタル改革推進本部 技術革新部(長岡、大倉)
Tel:06-4793-3921
Email:tech-strategy@west.ntt.co.jp
NTTビジネスソリューションズ バリューデザイン部(中山、中西、大川)
Tel:03-6260-6776
Email:recycle@west.ntt.co.jp
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