- リリースのPOINT
・工場・本社にPLMを導入・同時にクラウド化を実現
・パンデミック・災害に強い体制構築(BCP強化)
- 創業80年老舗農器具メーカー 八鹿鉄工株式会社
兵庫県に本社を構える八鹿鉄工株式会社は、約80年の歴史を持つ『農業用機械・生活関連機器』を製造する老舗農器具メーカー。コンバインカッター等の農業用機械を開発し、昭和23年には全国で製造販売を開始するまでの大ヒットを記録した。その後、独自の技と工方による製品開発力を武器に、会社規模を拡大、大手農業機器メーカーと生産委託契約を結ぶ等、盤石な基盤を築いてきた。現在では農業機械のみならず、医療用の補助機器を開発するなど、技術力を生かして異なる分野にも進出し、話題を生んでいる。
- 老舗製造メーカーが挑戦 ~設計作業のクラウド化~
独自の製品開発力を生かして新たな分野に進出する等、順風満帆に見える老舗工場だが、将来的な発展性を見据えて、大規模な挑戦をしている。それは『開発環境の改革』。具体的にはPLMソフトウェア『Windchill』の導入である。
Windchillをクラウド環境(Amazon Web Service)に構築して使用することで自社や取引先間の離れた拠点でも同時並行的な設計作業を可能にした。全員が同じ場所でデータを共有するだけでなく、プロセスを共有することが可能になり、個人設計からチーム設計へ設計の業務レベルが上がった。これにより多くのリソースを注げる環境を構築したのである。同時にパンデミックや災害に強い組織体制の構築にも繋がった。
また今回はWindchillとAWS(Amazon Web Service)の運用保守サポートをTOPWELLがワンストップで提供することが可能であったため、従来まではそれぞれの業者に必要であった運用保守費用を1社に集約でき、結果的にコスト削減につなげることができた。
- 導入STORY ~環境変化に備えた大規模投資~
戦後から様々な新機種を開発し、市場に投入してきた老舗メーカーを取り巻く環境に2つの大きな変化が起こっていました。それは、少子化の影響による需要減少とグローバル化によるサプライチェーン再編。農器具市場は縮小されることが予想され、自社内での危機感も顕在化していました。
そこで、自社の強みである開発に注力し、生産量の確保と市場の拡大に挑戦することになりました。
手段として、製品の開発企画から生産、販売、廃棄というライフサイクル全体の製品情報を一元管理できるPLMソフトウェアの導入が決定したのです。※PLMとは(Product Lifecycle Management)の略称である。
PLMの導入は八鹿鉄工研究部創設以来の大規模な投資が必要でした。しかし、開発をすることで規模を拡大してきた八鹿鉄工のチャレンジ精神や開発にかける情熱が、会社全体を大きく動かしたと感じています。
PLM導入によって、チーム内での開発環境の改善・開発業務へのリソース投下だけでなく、製品の市場投入期間の短縮が期待できる為、DX促進が嘆かれる業界内において、競争力を高められます。今後は、老舗メーカー独自の技と工法による製品開発で、さらなる成長を見据えています。
八鹿鉄工株式会社研究部 部長
石井 真嗣 氏
- 『Windchill』導入イメージ
これまで設計者がおのおの自分の設計テーマを持って進めていた設計業務だが、 Windchillを導入したことにより、全員が同じ場所でデータを共有するだけでなく、プロセスを共有することが可能になり、個人設計からチーム設計へ設計の業務レベルが上がった。
チームで複数のテーマを回せる環境が整備され、コンカレントに進めることが可能となった。その結果、当然設計リードタイムの短縮といった効果も見込まれる。
また製品情報をCADからBOMに連携して一元的/統合的に設計情報を共有することが可能になったので、例えば同じような図面を再度一から作り直してしまうような無駄が省けたり、設計情報の先祖返りがなくなったりといった、設計品質の向上にもつながった。
- 開発業務のリモートワーク対応・BCP対応
クラウド化によって離れた遠隔地からWindchillへ容易に接続できるようになり、コラボレーション設計ができる環境が構築された。また、Amazon Virtual Private Cloud (Amazon VPC)を利用することによってセキュアな通信環境も実装している。これによって、安心して外出先や自宅などからもWindchillに接続し、いつでも必要な設計データにアクセスすることができるようになり、リモートワークを促進できた。
クラウド環境は同社のBCP対策としても有効であった。クラウドサービスのサーバーは一般的にデータセンターに置かれているが、データセンターは地震だけでなく火災や停電にも強い構造となっているため、自社でサーバーを保管するよりも、安全にデータを守れる。もし、自社でデータセンターと同等の災害対策を行おうとすると、建物を堅牢にするなどの膨大な費用が必要になるため特に中小規模の企業では非現実的である。また、自社から離れた位置にあるデータセンターを活用することで、地震・津波といった局所的な災害による被害も分散できることとなった。
- PLMソフトウェア『Windchill』
製造業では情報共有やデータの可視化がこれまで以上に求められている。そこで、必要になるのが、製品の企画・設計・生産・販売まで、製品のライフサイクルをまとめて管理することができる、PLMソフトウェアである。今回導入されたPLMソフトウェア『Windchill』は、柔軟性や拡張性、相互運用性に優れているとされる。
つまり、システムやデータの種類に縛られず、一元管理できるのである。導入によって、統合が難しいとされていた複数部門(設計と製造等)にまたがるデータを、まとめて管理できる。加えて、旧バーションの3D CADや設計データを、そのまま生かせる為、これまで蓄積されてきた情報資産を、そのまま生かすことが可能になる。
情報の一元管理によって、作業時間・市場投入までの期間短縮することができる為、結果的に企業の競争力を高めることにつながる。
TOPWELLは今回導入した『Windchill』を提供するPTC社のライセンス販売パートナーだけではなく、コンサルティングサービスパートナーでもある。そのため今回PTCソリューションを高品質・短期間に導入することができ、今回の導入プロジェクトを成功に導いた。
(株) TOPWELL 代表取締役 井上康秀氏
危機感の共有と迅速な対応
八鹿鉄工を取り巻く外部環境には大きな変化がありました。
主要取引先は、グローバル化への対応の一環で現地調達比率を高めていた為、八鹿鉄工においても、主要取引メーカーなどの生産委託から、自社開発製品へ収益源をシフトする必要に迫られていました。
しかし、八鹿鉄工さんは外部環境の変化による危機感を全社で把握、そして、共有ができておりました。素早く開発環境の改善(PLMソフトウェアの導入)に踏み切ることができたのは、その様な意識からだと思います。
- 株式会社TOPWELL
会社概要
会社名:株式会社TOPWELL(株式会社トップウェル)
創立年月日:2009年4月6日
本社所在地:大阪市淀川区西中島3丁目9番13号 NLC新大阪8号館6F
事業内容:ITコンサルティング/システムインテグレーション