デジタル庁の新設やデータ戦略、スーパーシティ構想など、国家をあげてDXに邁進しはじめた日本に向けて武邑が放つメッセージ。それは希望の凱歌か、はたまた破滅の序曲か。
「わたし」はだれのものなのか?
プライバシー保護の重要性を認めつつも、巨大テックプラットフォームにデータを供給し続ける私たちが迎え入れようとしている未来は、利便性のユートピアか、それとも全人監視のディストピアか?プライバシーはもはや誇大妄想にすぎないのか?わたしたちは、すでにテック巨人たちの「農奴」にすぎないのか?
『さよなら、インターネット』では「GDPR」の知られざる深層に迫り、『ベルリン・都市・未来』では、シリコンバレーとはまったく異なるベルリンのデジタルビジネスシーンを描いたメディア美学者・武邑光裕。
最新刊『プライバシー・パラドックス データ監視社会と「わたし」の再発明』は、データ化がますます進行していく世界のなかで、「わたし」が、もはや私たちが考えている「わたし」ではなくなっていく恐るべき未来を描き出しています。
個人データが収集されていることを知りながら、嬉々としてデジタルツールを使い続ける。 「プライバシー」をめぐって矛盾した行動を取り続けるわたしたちは、すでに「プライバシーの死」を受け入れているのか?
「プライバシー・パラドックス」といういま最も困難な問題を、 ベルリン在住の碩学・メディア美学者の武邑光裕が、 欧州の歴史を縦横にたどりながら解き明かす、データ時代の必読書。ぜひご一読ください。
■概要■
デジタル時代、特に「ビッグデータの時代」におけるプライバシーをめぐる混乱の理由は明らかである。プライバシーの概念が物理的な空間とオンラインとでは異なる解釈となるからだ。プライバシーに対する伝統的な理解は、家のような物理的な空間と深い関連があった。誰かが家の窓からあなたの生活を覗いたなら、人びとはそれをプライバシーの侵害だと考えた。サイバースペースはこの理解ともまったく異なる。インターネットによって、私たちは自分たちのために残しておきたい活動の場、つまりプライバシーを定義する空間の概念と「自己決定権」を失ったのである。
GAFA、スマートシティ、感染追跡、監視資本主義、デジタルツイン・・・・・
来るべきデータ時代、「わたし」はもはや「わたしのもの」ではない。
プライバシーとはなにか?個人とはなにか?自由とはなにか?
そして、21世紀に民主主義は可能なのか?
デジタル国家へと急旋回する日本社会に向けた警告の書、緊急刊行。
■関連キーワード■
GDPR/独占禁止法/シュタージ/IoT/スマートシティ/ケンブリッジ・アナリティカ/サウナ文化/ヌーディズム/スノーデン/ワイマール憲法/性科学/脱プライバシー/世界人権宣言/TikTok/Z 世代/テセウスの船/監視資本主義/デジタル・ツイン/ヘルスケア革命/デジタル農奴制/シェアリングエコノミー/デジタル庁/民主的監視/新型コロナ/感染追跡アプリ……
■著者プロフィール■
武邑 光裕 Mitsuhiro Takemura
メディア美学者。日本大学芸術学部、京都造形芸術大学、東京大学大学院、札幌市立大学で教授職を歴任。1980 年代よりメディア論を講じ、VRからインターネットの黎明期、現代のソーシャルメディアからAIにいたるまで、デジタル社会環境を研究。2013年より武邑塾を主宰。著書『記憶のゆくたてーデジタル・アーカイヴの文化経済』〈東京大学出版会 〉、『さよならインターネット―― GDPRはネットとデータをどう変えるのか』〈ダイヤモンド社〉など。
■書籍詳細■
書名 :『プライバシー・パラドックス データ監視社会と「わたし」の再発明』
(ISBN978-4-9911260-3-1 C0036)
著者 :武邑 光裕
編集 :若林 恵
デザイン:藤田 裕美
発行 :株式会社黒鳥社
販売代行 :トランスビュー
発売日:2020年11月30日(月)
定価:2700円+税
判型 :B5 変形 | 並製
WEB: https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784991126031
■目次■
序文 7
現在 13
義務 29
未来 47
歴史 63
民意 85
自己 106
操作 117
双子 138
秘密 148
魔術 165
補稿 173
後記 186
■書店の皆様■
売り場でのフェア展開用に、著者の武邑光裕による『プライバシー・パラドックス:データ監視社会と「わたし」の再発明』の関連書籍の選書リスト(約70点を選書)を作成しました。選書リストをご希望の書店の皆様は、株式会社黒鳥社 川村 info@blkswn.tokyoまでお問い合わせください。