《アジアの起業家が競う柏の葉が舞台のイノベーション・アワードAEA2024》Entomal Biotech(マレーシア)が優勝、有機廃棄物を昆虫タンパク質と肥料に変換するバイオテックソリューション

優勝企業Entomal Biotech
受賞企業

アジア・アントレプレナーシップ・アワード(以下:AEA)運営委員会は、成長著しいアジアのスタートアップによるイノベーション・アワード「AEA2024」を、2024年11月20日(水)、21日(木)に柏の葉スマートシティにて開催いたしました。今年で13回目を迎える「AEA2024」では、5年ぶりに観客を入れての開催となりました。

AEA2024では、 PoCを完了し顧客と協業や販売の交渉が可能な資本金0.5M〜10M USDのアーリー期のディープテック系スタートアップのうち、柏の葉スマートシティと繋がりの深い「ライフサイエンス / ヘルスケア」「環境 / エネルギー」「モビリティ」 「宇宙」「消費者向けスマートシティ・ソリューション」領域のスタートアップを募集し、13の国と地域から64社がエントリー。事前審査を通過した15社が現地のセミファイナルセッションに進み、勝ち抜いた6社がファイナルセッションに挑みました。ファイナルセッションでは、グローバルで活躍する経営者やディープテック領域を対象としている投資家などを審査員に迎え、グローバル市場に向けて先端技術で世の中を変革するために磨き上げてきたビジネスプランをピッチで競い合い、熱い戦いを繰り広げました。

優勝に輝いたのは、ブラックソルジャーフライを用いたバイオコンバージョン技術で、有機廃棄物を昆虫タンパク質と肥料に変換する廃棄物管理ソリューションを開発したスタートアップである、マレーシアのEntomal Biotechです。分かりやすく明確なプレゼンテーション、早期収益化の可能性、緻密に設計されたビジネス構造、そして持続可能性への取り組みが高く評価されました。

柏の葉スマートシティにおける事業実証のサポートが受けられる「柏の葉賞」は、自律型AIオフロードプラットフォームで農業などの一次産業の様々な作業を効率化する技術を提供する、柏の葉に拠点を置く日本のスタートアップ、Kisui TECHが受賞しました。

■AEAについて

AEAは、成長著しいアジア各国から選抜された、若き起業家たちを柏の葉スマートシティへ呼び込み、アジア各国のスタートアップ支援者と日本の投資家・大手企業が一同に会することで、アジアのイノベーション創造におけるエコシステム構築の実現を目指したイノベーション・アワードです。世界のあらゆる課題の解決に果敢に挑むアントレプレナー(起業家)は、新しい経済活動を産み、産業を創造し雇用を作りだす源であり、世界中でイノベーションの要として位置づけられています。2012年より毎年開催しており、今年で13回目を迎えました。

詳細:https://aea.events/j/

■2024 受賞企業一覧

<優勝> 賞金300万円

受賞者: Entomal Biotech Sdn. Bhd.(マレーシア) [WEB]: https://entomal.com/

有機廃棄物を高品質な昆虫タンパク質や栄養豊富な肥料に変換する、ブラックソルジャーフライ(BSF)を活用した革新的なバイオコンバージョン技術を提供するスタートアップ。独自の技術により、わずか7日間で食品廃棄物を資源化し、小規模な移動式システムや大規模処理施設で多様な廃棄量に対応する。マレーシアや韓国を含むアジア各国で成功事例を持つ、持続可能な廃棄物管理のリーダーカンパニー。

・授賞理由

プレゼンテーションは非常に分かりやすく、明確に伝わる内容で構成されていました。また、事業については早期の収益化が期待できる点、緻密に設計されたビジネス構造、そして持続可能性への取り組みを高く評価し、優勝企業に選定しました。

<準優勝> 賞金100万円

受賞者: Formus(ニュージーランド) [WEB]:https://www.formus.com/

AI自動化と計算生体力学を融合し、個別化された整形外科治療を実現する革新的な技術を提供。オークランド生体工学研究所での20年にわたる研究を基に開発されたFormusの3D人工股関節置換術計画ソフトは、FDA、PMDA、TGAの認証を取得し、これまでに3,000件以上の手術計画を支援している。オーストラリアとニュージーランドでの成功を基に、日本市場でZimmer Biometと提携して展開を開始した。CT撮影や手術技術の高い普及率を活かし、2025年初頭の商業展開を目指す。

・授賞理由

機械学習の実用化を活用した深刻な課題解決に取り組み、大きな市場と高いポテンシャルを持っていることを高く評価しました。

<第3位> 賞金50万円

受賞者: Kisui TECH Co. Ltd.(日本) [WEB]: https://kisui.ai/

自律型AIオフロードプラットフォーム「Adam」を開発し、輸送、草刈り、農薬散布、データ収集など多彩な作業を可能にするモジュール式機械で、負担軽減と効率化を実現し、農業や建設業などの一次産業の労働力不足や重労働の課題解決を目指す。農業分野で日本全域の畑や農園で市場適合性を確認し、スペインやインドネシア、アメリカでも大きな関心を得ている。宇宙ロボティクスやAIの専門知識を持つ多国籍チームで、世界最先端の技術を展開する。

・授賞理由

労働力不足や高齢化社会といった大きな課題に対し、単なるロボット支援にとどまらず、包括的なソリューションを提供している点を高く評価しました。このアプローチは、「優しいロボット」として人々の生活や社会に大きな変化をもたらす可能性があると考えています。

<柏の葉賞> 賞金200万円、柏の葉での実証サポートを提供

受賞者: Kisui TECH Co. Ltd.(日本) [WEB]: http://kisui.ai/

・授賞理由

Kisui TECHは、農業と食に対する深い理解と革新的な技術を通じて、社会に大きな影響を与えるスタートアップだと思いました。彼らの活動は、柏の葉が今後注目していきたいテーマである「農業と食」に一致しております、更に具体的な連携パートナーと共に進める実証プランを提案してくれました。これから柏の葉のみならず農業県である千葉・地域全体の発展にも寄与していくことを期待しております。

<特別賞 富士通アクセラレーター賞>

社会課題解決に挑む富士通のソリューションFujitsu Uvanceの共創パートナーとなりうるスタートアップに、富士通担当部門メンバーとのディスカッションの場を提供します。

受賞者: Kisui TECH Co. Ltd.(日本) [WEB]: http://kisui.ai/

・授賞理由

Kisui TECHは、AIロボットを用いた農業の効率化に取り組んでおり、人手不足や高齢化といった日本の農業が直面する課題を解決するソリューションを提供されています。このような取り組みは、富士通が注力するスマート農業や持続可能な社会の実現というビジョンに合致しており、その革新性を評価する理由になります。

<特別賞 IP Bridge賞>

人々の未来づくりに貢献し、提供プロダクトが日本における実装可能性を秘めているベンチャーに対し、(株)IP Bridgeによる知財支援(2024年末までに最大3回)のサービスが贈られます。

受賞者: TopoLogic Inc.(日本)[WEB]:https://www.topologic.jp/

東京大学の研究を基に、トポロジカル材料の特性を活かした高性能半導体技術を開発している。主な技術は、従来のメモリより10倍の省エネ性能を持つ高速不揮発性メモリ「TL-RAM」と、従来比100倍の速さで熱変動を検知するMEMS熱センサー「TL-SENSING」。2022年以降30件以上の特許を出願し、東京大学の基本特許を独占ライセンスで確保した。自動車や産業機器、半導体業界との共同実証実験も進行中。

・授賞理由

TopoLogicプロダクトが目指す市場の規模、並びにメモリの消費電力削減等、TopoLogicプロダクトが生み出すであろう社会的インパクトの大きさに強い期待を感じ、IP Bridge賞を授与したいと思います。

<特別賞 ライフサイエンス賞>

1. LINK-Jネットワーク内企業との1on1 オンラインmtg設定の打診、必要に応じてmtg設定のサポート

2. (日本企業の場合)LINK-J会員権1年間分無料

受賞者: CancerFree Biotech(台湾) [WEB]: https://cancerfree.io/

患者の血液から3D腫瘍オルガノイドを作成し、がん治療薬の効果を検証する技術を提供している。患者ごとに異なる腫瘍特性を反映したオルガノイドを用いて、精密医療や新薬開発を支援。これまでに1500件以上の症例を取り扱い、台湾国内の60以上の医療機関と提携している。

・授賞理由

リキッドバイオプシーオルガノイドを活用した独自の癌研究は非常に画期的であり、今後、研究開発や臨床の現場で応用が進むことで、患者や医師に大きな恩恵をもたらす可能性が期待されます。この革新的な取り組みに対し、ライフサイエンス賞を贈呈いたします。

<特別賞 日本ベンチャー学会賞>

一般社団法人日本ベンチャー学会より、問題解決が最もチャレンジングで、アントレプレナーシップ(”企業家精神”) に満ちたチームに対し授与されます。

受賞者: KroniKare Pte Ltd (シンガポール) [WEB]: https://kronikare.ai/

糖尿病、心血管疾患、肥満、加齢などによって起こる慢性創傷の評価と管理を自動化する、画期的なAI搭載の慢性創傷管理システム「KWS」を開発し、2017年に研究プロジェクトとして開始。現在は商業化され、CEマーク認証を取得しヨーロッパで展開中。高齢化が進み、糖尿病患者が多い日本は重要市場と位置づけている。

・授賞理由

日本は特に高齢化率が高く、高齢者の健康寿命を維持することが緊急で重要な課題です。KroniKare社のwound assesmentシステムは日本で高齢者をはじめ罹患率が高い糖尿病、心疾患の病状悪化を予防し、国民のQOLを高めるという社会課題を解決し、活力ある社会構築に貢献すると期待しております。

<オーディエンス賞>

ファイナルセッション参加企業の中からオンライン配信を視聴いただいたオーディエンスの投票で最大の票を集めた企業に授与されます。

受賞者: CancerFree Biotech(台湾) [WEB]: http://www.cancerfree.io/en-us


■ ファイナリスト一覧

※ファイナルセッションの登壇順

■ AEA2024 開催風景

【11月20日(水)DAY1:セミファイナル】

セミファイナルセッションの結果、ファイナルセッションへの進出企業6社が決定しました。DAY1の午前中には、セミファイナリストたちが「柏の葉スマートシティツアー」に参加し、KOILやMITSUI LINK Labなどを見学しました。セミファイナルセッション後には、柏の葉を拠点とするスタートアップとの交流イベント「Kashiwa Startups Meetup」が開催され、柏の葉のスタートアップ3社がプレゼンを実施。セミファイナリストたちとの交流を深めました。さらに、プログラム終了後には「かけだし横丁」での懇親会にスタートアップ各社が集い、互いの努力を称え合いながらDAY1を締めくくりました。

・柏の葉ツアーの様子

・開会式の様子

・セミファイナルセッション

・Kashiwa startups meetup

・懇親会

【11月21日(木)DAY2:ファイナル】

最終日は、セミファイナルセッションを勝ち抜いた6社によるファイナルセッションが行われました。また、ベンチャーキャピタル Carbide Ventures ゼネラル・パートナー 、トレジャーデータ株式会社代表取締役 堀内 健后 氏による講演「日本から世界へ、世界から日本へ、スタートアップが取るべき市場進出戦略とは」が行われました。

・ファイナルセッション

・堀内 健后 氏による講演

■ AEA開催地「柏の葉スマートシティ」について

AEAの舞台となる柏の葉エリアは、課題解決型の街づくりモデルを具現化する「柏の葉スマートシティ」として、「環境共生」「健康長寿」「新産業創造」の3つのテーマで街づくりを推進してきました。柏の葉スマートシティでは2019年から、街全体を実証プロジェクトのプラットフォームとし、新産業創造を加速させる「イノベーションフィールド柏の葉」が始動しており、様々な企業や団体が実証実験プロジェクトを実施しています。これまでAEAに出場した企業も、柏の葉スマートシティでの実証から導入、さらには出資までつながった事例もあります。AEA出場企業に対しては日本進出のファーストステップを、日本企業向けにはスタートアップとの協業における柏の葉の実証フィールドの活用を支援いたします。

■ AEA運営委員会構成メンバー

<国立大学法人東京大学産学協創推進本部>https://www.ducr.u-tokyo.ac.jp/

東京大学産学協創推進本部は、東京大学のオリジナルな研究成果を活用し、インパクトの高いイノベーションを実現すべく、知的財産の権利化、管理・活用、起業・事業化に係る支援を行っています。具体的には、研究者・学生向けの起業相談、ベンチャー企業向けのインキュベーション施設の運営・管理事業、東京大学協創プラットフォーム開発株式会社や株式会社東京大学エッジキャピタルを通した大学発ベンチャー企業への資金提供などを行っています。また、「東京大学アントレプレナープラザ」「東京大学アントレプレナーラボ」などのインキュベーション施設の運営を手掛け、更には「東京大学アントレプレナー道場」「EDGE-NEXT」「本郷テックガレージ」「FoundX」などのアントレプレナー育成教育プログラムを運営しています。本アワードを通じて、グローバルな視点に立ってさらなる起業文化・アントレプレナーシップの醸成を進めてまいります。

<三井不動産株式会社>柏の葉スマートシティ https://www.kashiwanoha-smartcity.com/

三井不動産は、不動産デベロッパーの枠を超えた「産業デベロッパー」という「プラットフォーマー」としての姿を進化させ、社会のイノベーション・付加価値の創出に貢献することを目指しています。千葉県柏市の柏の葉キャンパス駅周辺エリアにおいては、「環境共生」「健康長寿」「新産業創造」の3つのテーマのもと、柏の葉スマートシティ事業を進めています。また、ベンチャー共創事業「31VENTURES」を中心に、三井不動産の持つ幅広い商圏と多岐にわたる事業領域を生かして、街全体で多世代・多分野・多国籍の人々がつながる新たな産業創造を目指しています。三井不動産および柏の葉スマートシティでは、2012年の立ち上げ時からAEAを支援しており、柏の葉エリアを舞台にアジアのスタートアップや大手企業・起業支援者が集まるイノベーション創造のエコシステム構築を進めてまいります。

<一般社団法人TXアントレプレナーパートナーズ>https://tepweb.jp/

TXアントレプレナーパートナーズ(TEP)は、つくばエクスプレス沿線を中心に技術をコアとするディープテック・スタートアップの支援を行う組織で、地域の大学・研究機関、行政、民間企業、個人支援者が連携して、持続可能なスタートアップ支援のエコシステム構築を推進しています。スタートアップが自国・地域内に留まらず、アジアや世界に視野を広げる機会として本アワードを立ち上げ、これまで継続開催しており、日本をはじめアジアのスタートアップ育成環境の醸成を目指します。

<一般社団法人日本ベンチャー学会>https://www.venture-ac.ne.jp/

日本ベンチャー学会は、新産業創出にむけて、ベンチャー企業および一般企業における企業活動などについて理論・実証・実践に関する研修を行うとともに、産学協同の推進および企業家活動の支援に寄与することを目的とします。単なる研究者だけの集まりではなく、大手企業、ベンチャー企業、行政関係者など多様な人々のネットワークを形成しながら、「思考する学会」であると同時に「行動する学会」としての機能を高め、イノベーションの創出を担う企業家活動やベンチャーに関わる社会的なプラットフォームとなることを目指しております。

<独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)>https://www.jetro.go.jp/

ジェトロは、国内外約120の拠点から成るグローバルなネットワークをフルに活用し、貿易・投資促進や調査・研究を通じ、日本の経済・社会の更なる発展に貢献することを目指しています。近年は、日本のスタートアップエコシステム育成やイノベーション創出に向けた取組を強化しており、「グローバル・アクセラレーション・ハブ」の設置等を通じた日本のスタートアップの海外展開支援や、ビジネスプラットフォーム「J-Bridge」の展開を通じた日本企業と海外企業との国内外の連携・協業を推進しています。

<柏市>https://www.city.kashiwa.lg.jp/index.html

柏市は、「つどう(企業集積)・つながる(交流機会)・つくりだす(イノベーション)」をコンセプトに、総合的なスタートアップ支援を実施しております。

柏市は令和5年度からAEAに共催として参画しておりますが、今回は5年ぶりのリアル開催であり、多くのスタートアップや関係機関の皆様に実際に柏市へお越しいただける機会となっております。柏市を「つどう」「つながる」場として盛り上げられるよう、「つどった」「つながった」スタートアップの方々が「つくりだす」ためのご支援もさせていただきます。

柏市には、柏の葉地域を中心に、研究機関・学術機関・インキュベーション施設が集積しています。これらの地域特性を活かし、市内に集積するスタートアップの方々が活躍できるよう支援を推進しております。