民営化をきっかけに、鉄道にもイノベーションを
2018年度、公営地下鉄としては日本で初めての民営化で誕生したした大阪市高速電気軌道株式会社(Osaka Metro)は、民営化を機に鉄道の安全対策をより強化すると共に、乗務員の労働環境を改善するため、現場で使いやすいローコードのアプリケーション開発ツールとして FileMaker を採用。1,150台のiPadを導入し、運転部に所属する運転士、車掌、監督者など約1,500人が利用する カスタム App をインハウス開発、順次運用を開始しています。これまで持ち物や就寝時間、掲示物の確認などの始業の点呼は、乗務員自らが乗務所の係の前に行き、口頭で伝える必要がありました。これを iPad で入力することによって時間を大幅に短縮することができ、さらにアルコールチェッカーをBluetooth接続することにより、チェックをした時間、数値、確認者、すべてが自動登録できるようになったことで、乗務員の負荷を大幅に下げることに成功しています。
同社鉄道事業本部 運転部 運転課 係長で、FileMaker と iPad の導入を担当した小林由和氏は今回の導入に当たり、導入理由を以下のように述べています。
<小林氏 コメント>
Osaka Metro の乗務員は、さまざまなファイルの入った乗務員用カバンを常に携行しており、その負担を軽減するためファイルを電子化しようと考えたのが導入のきっかけです。民営化のタイミングで何かイノベーションを起こそうと考え、全乗務員に FileMaker と iPad の導入を決めました。
FileMaker は、日本語でスクリプトを記述できるという使いやすさにも魅力を感じ、また日本航空のパイロットの方々もインハウス開発で カスタム App を導入されているということから、当社でもインハウス開発での導入を決定しました。今後も FileMakerとiPadを使ってさまざまな カスタム App を作り、次世代の新しい鉄道システムを作りたいと思っています。
アジャイル開発により1年半の間、現場の声を基に開発された8種の カスタム App
FileMaker と iPad の導入以降、Osaka Metroでは主に現場の運用を把握している運転課の社員が開発を担当、Claris Platinum パートナー 企業のコンサルティングを受けながら、ワークスモバイルジャパン株式会社が提供する「LINE WORKS」とも連携し、1年半という短期間で8種の カスタム App が完成し、現在運用されています。
「LINE WORKS」は、ワークスモバイルジャパン株式会社が提供する、業務の効率化に必要な機能と高いセキュリティを備えた業務コミュニケーションのための仕事用LINEです。ワークスモバイルジャパン株式会社 代表取締役社長 石黒 豊は今回のOsaka Metroの導入について次のように述べています。「列車の運行情報の通知にLINE WORKS が利用され、業務の効率化とコミュニケーション向上の一助となり安全運行に貢献できることを誇りに思います。鉄道関係者の働き方改革を実現するために、LINE WORKSと、Claris FileMaker の活用がより進んでいくことを期待します」。
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1:アカウント管理(運用開始:2019年8月)
全乗務員を管理する基本データ。従来は表計算ソフトで作った乗務員カルテを用いており、現場で個別に管理していた。FileMakerを用いてこれをデータベース化し一括管理が可能に。
2:運行情報の通知(運用開始:2019年8月)
列車の運行を管理する輸送指令所が、運転士・車掌へ通知する緊急情報を管理する。乗務員への運行情報の通知は列車無線により行っており、iPad導入を機に電子メールでの配信を検討したが、送信件数が多いため2~3分のタイムラグが発生し、情報が古くなってしまうことを懸念。そこで、この通知手段をLINE WORKSに変更し、速達性を向上させた。
3:始業点呼管理(運用開始:2019年8月)
運転士・車掌が始業前に実施する点呼内容を管理。これまでは監督者が口頭で持ち物チェックなどを行い、毎日、表計算ソフトで作成した紙ベースの「始終業報告確認簿」に押印していく仕組みだった。これをiPadから入力し、監督者はブラウザで確認・承認して、点呼時間の短縮に成功。
4:審査システム(運用開始:2019年9月)
Osaka Metroは、乗務員の技術や知識を測る審査を行っている。開発前はPCをベースとした大掛かりなシステムで審査結果を入力していた。これをiPad上で行うことで、集計時間の短縮と機動性向上を図る。
5:eラーニング(運用開始:2019年12月)
全乗務員を対象に、理解度の確認および学習用コンテンツを一括管理する。従来は紙ベースで行われていたため、1,000名を超える受講者の集計に多大な時間を要していた。これらの出題、理解度の確認、結果集計までをすべてシステム化し、理解度確認、結果分析まで迅速化を図る。
6:事故の芽管理(運用開始:2019年11月)
日々の運行で感じたヒヤリハットの登録と、データを迅速に集計。従来は他社のデータベースソフトでPCにて運用されており、乗務員が気づいた内容は事業所に戻ってから入力されていた。これを乗務員が携行するiPadから行えるようにすることで、気付いた事故の芽情報を瞬時に入力し共有できる。
7:画像共有(運用開始:2020年6月)
事故や故障、緊急事態が発生した際に画像を社内で共有する。もともとは一連のシステム導入後にLINE WORKS上で共有が行われていたが、より強固なセキュリティを確保するため、iPad 端末内に画像データとして残さずに画像を共有できる Claris FileMaker Go に移行。
8:アルコールチェッカー(運用開始:2020年9月)
従来からアルコール検知器によるチェックは行われていたが、手入力であった。さらに厳密な数値と時間等の記録が定められたため、Bluetoothを内蔵したアルコールチェッカーと連動させ、乗務員のアルコール濃度を検出し、各種数値を自動入力させ、同時に時間短縮も実現した。
■本事例の詳細とビデオ:https://www.claris.com/ja/customers/stories/osaka-metro
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Claris International Inc. について
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