3社は本プロトタイプのプロダクト化に向けたさらなる機能拡充を進め、幅広い産業における監視/見守りのデジタルトランスフォーメーション(DX)に貢献してまいります。
図1. (a)従来の監視映像ではデータ量が膨大であり、奥行きの測定は困難 (b)また、3次元空間マップを
生成することで、データ量を削減しながら人物(赤い領域)と入口の距離や大きさの関係を把握
■背景
実環境におけるAIとIoT(Internet of Things)を組み合わせたDXソリューションが台頭し広がりを見せる中、IoT回線プラットフォームMEEQを展開するSNCSPと不動産事業(リアルビジネス)およびAIソリューションを展開するSRE HDおよびSRE AIP は、実環境におけるデータ収集と収集データに基づく実環境へのAIサービス展開に向けて、2020年8月に戦略的提携を行い、それぞれの技術/サービスの開発や拡充を進めるとともに共同でのソリューション創出に取り組んでまいりました(https://sre-group.co.jp/news/2020/200827.html)。
〇SNCSPのIoT回線プラットフォーム「MEEQ」
MEEQ(ミーク)はSNCSPが提供するIoT事業者向けの回線およびその管理プラットフォームです(https://www.sonynetworksmartplatform.co.jp/meeq/)。 IoT事業で使いやすいSIMから、デバイスから上がってくるデータの蓄積・処理サービスまで、ワンストップで提供していきます。
〇SRE HDおよびSRE AIPのAIソリューション
SRE HDおよびSRE AIPは、様々な領域におけるデータ分析ソリューションを展開してまいりましたが、さらなる業種/場面における応用を見据え、コンピュータービジョン分野の技術開発を進めています。今回、Visual SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)[2]を活用した3次元空間認識技術を開発しました。
■今回開発したモニタリングソリューションの概要と特長
〇概要
実環境へのIoTの展開とAIサービスの提供においては、データ通信量の増大が課題の一つとして挙げられ、とくに監視/見守り領域においてはネットワークカメラを監視カメラに用いる際、膨大な容量の映像データが通信回線をひっ迫することが、これまで導入の障壁となっていました。
こうした中、3社は上記課題の解決に向けたPoC(Proof of Concept, 概念実証)に取り組み、この度、映像から3次元空間情報を抽出し、映像そのものの通信を行うことなく、分析に活用できるデータのみをクラウド上のサーバに送信するソフトウェアのプロトタイプを開発いたしました。本ソフトウェアは、以下の処理を実行することで、入手容易な小型端末で実行可能な3次元空間認識を実現いたします。
1. ステレオカメラまたは深度センサーを用いることで、入力映像から3次元空間情報を取得し、細かいキューブ
で構成される3次元空間マップを生成(図1)
2. 3次元空間マップの変化から動的物体の場所を特定
3. 構成した3次元空間マップの差分を抽出しクラスタリング、ノイズ除去処理を行うことで動的物体を個体ごと
に検出
4. 検出された各動的物体の3次元空間上の体積、位置、速度等を観測
〇特長
これまで、監視カメラの映像全てをクラウド上に保存することは、膨大な通信コストを要するため現実的ではありませんでした。本ソリューションでは、AIが映像から必要な情報のみを抽出するため、全ての映像を送る必要がなくなり、通信量を1/100以下に削減できます。例えば、監視カメラ側のAIが検知を行い、侵入者などの異常が観測された一定時間のみ映像を送ることが可能です。この際、MEEQを用いることで、多数あるIoTカメラで観測された映像や抽出された3次元空間情報などのデータを安全に集約し管理できます。
さらに、以下の利点により、物体認識などの従来型の画像認識AIを用いた監視ソリューションと比べ、監視/見守りの利便性を向上させることが可能です。
A. 夜間の監視でも性能が劣化しません[3]。AIを用いた監視では、夜間は赤外線・高感度カメラを利用する場合
が多く、侵入者などの特定の動的物体を検知するAIの性能が、日中に比べ劣化することが一般的でした。しか
し、本技術では暗所でも情報を取得できる深度センサーで取得可能な3次元空間情報を元に動的物体を検知し
ているため、夜間も監視を行うことが可能です。
B. 高価な専用機器を必要としません。従来型のリアルタイム物体認識AIと比べ、必要とする計算量を90%以上
[4]削減できるため、入手容易な小型端末を利用できます。こうした端末は片手で持ち運ぶことができ、扱い
が容易です。導入にかかる費用/手間を抑えながらも、リアルタイムで動物体情報を認識します。
C. AIの学習データの準備が不要なため、容易にAI監視カメラを導入できます。従来の画像情報を用いた機械学習
では、人間や動物、車などの動的物体を画像から検知するために、対象の学習データの準備が必要ですが、本
技術では監視場面と体積の情報を活用することで、学習データなしに動的物体を検知することが可能です。
■今後の展望
監視/見守り用途においては、ショッピングモールや病院、工場などの不動産施設のモニタリングのほか、介護施設や在宅介護での見守り等への活用を推進してまいります。
物流業界においては、倉庫やトラック荷台の充填率を測定することで、業務支援にも活用可能です。従来のRFIDタグを用いた管理では、庫内にある在庫の種類と体積はわかるものの、どのように配置されているかを補足することは困難でした。本技術により庫内の空き空間等の3次元空間情報をリアルタイムで検知することが可能となります。
3社は、様々な産業における監視/見守りに適用可能なDXソリューションの創出を目指してまいります。引き続き、本技術を活用したソリューションを共同で開発し、業務課題を解決していくビジネスパートナーを広く歓迎いたします。
[1] 一般的に用いられる容量の監視カメラ動画の代わりに、動的物体の体積や座標などのデータ等のみを通信する前提でSRE AI Partnersが試算
[2] 画像情報を入力として位置特定と地図作成を同時に行う技術。自律ロボットなどに使われる
[3] レーザーを使った深度センサーの利用を想定
[4] 同一映像を入力とし、一般的な物体認識アルゴリズムと比較
ビジネスパートナーからのお問い合わせ先:
ソニーネットワークコミュニケーションズスマートプラットフォーム株式会社 営業部門
e-mail: snc-sp-biz@sony.com
SREホールディングス株式会社 AIクラウド&コンサルティング事業本部
電話: (03)-6274-6511
e-mail: Partner-sre-ai-partners@sony.com
(ご参考)ソニーネットワークコミュニケーションズスマートプラットフォーム株式会社について
SNCSPは数少ないトリプルキャリアに対応したMVNE事業者として、多くの大手MVNO事業者様にネットワークおよび業務システム、業務支援を提供しております。市場の黎明期から運営してきたこのMVNE事業の経験と規模を生かし、2021年3月には法人向けIoT通信回線プラットフォーム『MEEQ(ミーク)』として、安定した高品質の通信サービスをIoT事業者様向けに月額130円からという利用しやすい料金にて提供開始しました。今後はMEEQを様々なIoTサービスを支える基盤となるプラットフォームサービスとして発展させてまいります。
<ソニーネットワークコミュニケーションズスマートプラットフォーム株式会社>
設 立:2019年3月
所 在 地:東京都渋谷区渋谷3-10-13 TOKYU REIT渋谷Rビル 8階
代 表 者:代表取締役社長 峯村竜太
事業概要:MVNO事業者へのシステムや業務の支援提供およびIoTサービス事業者へのモバイルコネクティビティ提供
会社ホームページURL:https://www.sonynetworksmartplatform.co.jp/
(ご参考)SREホールディングス株式会社について
SRE HDはAIクラウド&コンサルティング事業において、多角的にAIソリューション・ツールを提供しております。主に不動産業界や金融業界向けにSaaS型クラウドサービスである「不動産査定ツール」や「マーケティングオートメーションツール」の提供を行うなど、AI/IT技術を活用し、様々な業界における業務支援や課題解決に取り組んでおります。
SRE HDは、AI/IT技術を実業に利用することで自社のサービス品質向上に努める企業をパートナーと捉え、パートナー企業と連携・協力することで、ビジネスの可能性を広げていく考えです。既に複数のパートナー企業との業務提携を行っておりますが、新たな提携にも取り組み、事業分野を一段と広げることで、パートナー企業と共にビジネスの発展を目指してまいります。
<SREホールディングス株式会社>
設 立:2014年4月
代 表 者:代表取締役社長 西山 和良
主要株主:ソニーグループ株式会社、Zホールディングス株式会社
上場市場:東京証券取引所 市場第一部
事業概要:AIクラウド&コンサルティング事業、不動産事業
会社ホームページURL:https://sre-group.co.jp/
※記載されている会社名・商品名は、各社の商標または登録商標です。
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