なびす画廊

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「背後の手前2」
(33×65×67cm)
2003
樹脂石膏,蜜蝋





「背後の手前1」
(50×80×108cm)
2003
樹脂石膏,蜜蝋


企画
大森 博之展
OHMORI Hiroyuki

2003.10.14(火)―10.25(土)

 | 大森博之の作品について |

 人のシルエットを想わす石膏のかたまりに蜜鑞を塗り重ねた彫刻は、手によって撫でられた石膏の起伏と蜜鑞の厚みの間に外光を吸収し、ちょうど蜜蜂が体液と花の蜜を混合して蜂蜜にするように、内側から滲み出てくる半透明の『彫刻の光』に変えて作品の表面を覆っている。日常の光からみれば昼間の外灯みたいな弱さと居心地の悪さであるが、それ故に別の次元のなにかが滞留しているかのようだ。

 人と対面した時その人の背中が見えないのと同様に、どんな彫刻も見えているところの背後は見えない。つまり断片としてしか彫刻は顕れない。その断片を多方向から合成して現実の空間に存在させようとする彫刻と大森の作品は鋭く対立する。彼の彫刻は逆に見えない背後の途方もなさに、押しつぶされずに残存した痕跡、何らかの記憶としての断片である。したがって彼の彫刻には背中がない。

 粘土から石膏型を取り蜜鑞を塗布する『時間』。その過程で物質と混合され醗酵してゆく光を彼は『ねばねばした光』と呼ぶ。まるで納豆ではないか。しかし彫刻とは物質と手の交わいによって熟成されるものであり、素材や鮮度に依存するものではない。いってみれば、枝豆の瑞々しさではなく納豆の粘々さにこそ探求すべき謎が隠されているのである。

 今回は、石膏と蜜鑞の白い表面と背後を意識した正面生の強い作品が並ぶ。次元の裂け目に切り取られ、こちら側に居残りに去れた何ものかの気配をただよわせた断片。蜂蜜のような『彫刻の光』。

→2006年度の個展

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